『RURIKO』林真理子

RURIKO

RURIKO

浅丘ルリ子といえば、物心ついたときは石坂浩二の奥さんで、体重が30キロくらいしかない女優さんというイメージしかなかった。
役柄的にも寅さんのマドンナ役くらいしかさっと思い浮かばないし…。
私の母も満州生まれの引揚者。祖父母がなぜ満州に渡ったかも、どれだけの苦労をして日本に戻ってきたかも知らない。一時期、残留孤児のニュースが頻繁に流れたときに、母は、自分もそうだったかもしれないとしきりに言っていた。
そういえば、日活も物心ついたときにはロマンポルノだったなあ(笑)

導入の満州時代、雰囲気がとってもいい。甘粕とのエピソードとかも。それがずっと続くと思いきや日本に戻ってきてからは様相がガラッと変わったね。
なんというか、ルリ子が女優として活躍しだして、有名人の名前がたくさん出てきたことでなんとなく色合いが変わってしまったというか。
事実に基づいたフィクションということで、そういう意味で十分楽しませてもらえた。
林真理子は職人だなあと思う。この作品がらみのインタビューを読んでなおさらそう思ったし。「ルンルンを買って〜」のころはまさかこんな作家になるとは夢にも思ってなかったな。

自分自身、昭和40年代が子どもながらにも肌で感じてきた時代だから、この作品を躊躇なく受け入れられるギリギリの世代のような気がするので、貸してくれたシュガーちゃんが楽しめたのは少数派といえよう(笑)私だって映画全盛時代をリアルでは知らない。でもその遺産というか、残像?、生き残り?(なんか違うけど思いつかないや…)が上手く引き継がれたテレビ時代を楽しめた最後の世代というか。

気になるのは石坂浩二がこれをどう読んだかということ…

とシュガーちゃんと同意見(笑)死んでしまった人は仕方ないけど、生きている旭ちゃんがどう読んだかはどうでもいい(爆)

とにかく、フィクションとはいえ本当だと思わずにはいられない内容であり、それがほとんど嘘だといわれても逆に天晴れだと思える作品。