『人質の朗読会』小川洋子

人質の朗読会

人質の朗読会

事前に情報を入れずに読みはじめました。
プロローグを読んだだけで鼻がツン、とした。ただ人質全員死亡という事実も、淡々とした描写ながらも悲しさが伝わってきた。
まるで短編集の趣だが、最後の描き手の肩書き、年齢、旅の理由がそれぞれの物語を引き締める。
誰もが小説のような文章をかけるとは思えないからその点ではリアリティさに欠けるが、未来は失われても誰にでも確実に存在する過去……それを伝えるためには逆に効果的だったかと。