秘密の花園 三浦しをん

秘密の花園

秘密の花園

ほんとは★4つ半。
編集者がつけてくれたというこのタイトル。
本人は気に入っているとあとがきにあったけど、私はそうは思わない。
桜の園」の向こうを張ったつもりなのかしら?
まあ、そんなことはさておき、第1部の「洪水のあとに」は今は亡き“鳩よ!”で連載されていたもの(「あふれる」というタイトルでね)。ラストのシーンで読んでいた記憶がよみがえった。でもそれまでの部分はよく覚えていない。
今回読んで驚愕したのは、主人公の一人が子どもの頃デパートで痴漢にあう。
精一杯のささやかな言葉で父親に訴えたものの相手にされなかったくだりだ。
私も実は小説の中ほどではないが同じような経験がある。
小学校4年生くらいだったと思う。弟と両親(母親だけだったかもしれない)と同じようにデパートのおもちゃ売場にいたときだ。
なぜかそのとき私は一人でわりと子どもがたくさん集まっている場所にいた。
するととつぜん私の股間に手をあてがう人がいた。洋服の上からで一瞬の出来事だったけど、その嫌な感じとその人がニヤリとした顔は今でも忘れない。
でもそのあとの親の対応が違ったので救われたんだなと思った。
これまた同じように私は大泣きしたけれども「お尻を触られた」とだけいえた。
すると親は、涙を流す私の手を引いて店員さんに訴えたのだ。
私に恥をかかせないような気配りが感じられたし、私が悪いんじゃないということを教えてくれてたように思う。こんなところでも親に感謝だ。
そんなことは本の感想としてはどうでもいいのかもしれないけど。
あとがきに女子高もののマンガが好きだとあり、「記号でも消費物でもない誇り高い生きものである少女を描きたい」という言葉にじん、ときました。
江國香織の「いつか記憶からこぼれ落ちるとしても」の半分くらいは売れていて欲しいと思ったよ。
うんうん、私はこういう人(エッセイから見える範囲でしかわかんないけど)の書く、こんな小説が好きだ。
普通の人の身近などこかで起こっていそうなお話を書く人が好きだ。夏石鈴子とか。
図書館で借りた本だけど、手元に置いておきたくなった。

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ときわ姫 > ふりすかさんの言うとおり、私もこの題名はどうかと思います。この題名のせいで、この本の事を知ってから実際に読むまで、随分間が空いてしまいました。ちょっとひいちゃって。読んだら感動しました。しおんさんの小説の中で、一番好きです。 (2003/10/13 09:26)
ふりすか > ときわ姫さま、1番好きなのですね、この作品。私はこれからほかの作品を読むのですが私もそんな感想になるのかな?ホントに「blue」のような温度というのかなそんな作品でした。 (2003/10/13 11:48)