私が語りはじめた彼は 三浦しをん

私が語りはじめた彼は

私が語りはじめた彼は

村川という大学教授をめぐる女と家族の物語が、彼らに関わる男の人の目で語られる短編連作。
この作品、ちょっとずるい……褒めるしかない。
スキがなく、どの短篇も完成度が一定している。
でも、なんで全部男の目線で描かれているのかなー。
(演歌って、結構男の作詞家が多いのに女の気持ちだったりすることが多いじゃない? その逆ってかんじ?)
私は主人公の村川に想像力の欠如を感じるし、そんなに奔放なのに、どうして太田春美と添い遂げたのか謎。
わざとテンション低めで綴っているのだろうが、やはり、要所要所で描かれているドロドロ感をこれでもか!と表現して欲しかったかも。
上手に書けてるけど、わたしには物足りなかったです。
すごく良く書けている小説には間違いないんだけど、どうしてこれをしをんちゃんが?という疑問にとらわれているのかな。
ラストは、グッときましたよ。私は愛も理解も必要だけどね。
もう『秘密の花園』の様な小説は読めないのかなあ。
あとがきがないのも残念な一つ。
そしてこの言葉を先に呼んでしまったのが敗因かな。

「この男 つまり私が語りはじめた彼は 若年にして父を殺した その秋 母は美しく発狂した」 田村隆一

くぅぅっ! 田村隆一先生カッコ良すぎ!!


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エリコ > またふりすかさんとわたしだけ評価が低め…「デッドエンドの想い出」もそうでしたよね…。意地悪なんでしょうか、わたしたち(笑)。
小池真理子あたりに扱ってほしい題材かなあという気もしました。しをんちゃんが書くには、やっぱりまだちょっと若いのかも。
村川は、奔放というよりは単に流されやすいんじゃないかなと思います。出されるがままに据え膳を食っていたら奔放と呼ばれてしまったという感じ。だから、太田春美とも意思的に添い遂げたというより、言われるがままだったような気がします。 (2004/08/16 19:27)
ふりすか > ぷぷぷ〜っ。そうね、素直に面白かったー!って言えないのよ。
意地悪上等!(爆)
そっかー、奔放ではなく流され男か。太田春美の執着に負けたんだな、きっと。 (2004/08/16 23:03)