「再婚生活」山本文緒

再婚生活

再婚生活

野生時代で連載が始まって、そのタイトルを「再婚生活」と知ったとき、病気療養中だなんて知らなかったものだから、夫との生活のエピソードを面白おかしく、また、再婚ならではの視点をまじえたエッセイだと思った。
さすが、ただの結婚生活ではなくて再婚と冠するなんて! 素敵!と。

ところがどっこい、ある種の闘病記みたいなものでした。
ただ、淡々と、冷静に過度な脚色もないような雰囲気の。

人は何が原因で心の病にかかってしまうのか?
それは十人十色だろうし、わからない…ということもあるでしょう。
文緒さんは好きな作家だし、同年代でもあるので興味深い。
文緒さんは自分で自分に恵んだというが、それができてしまうことが恵まれているんだと思う。
世の中、努力だけじゃ、恵みたくても恵むことができない人のほうが大多数なのだから。
そういう風に、世間から恵まれているのに…と思われている文緒さんの心に何が起きたのか…少し落ち着いたところで彼女なりの分析が欲しかったなあ。医師なりのものも。
1冊の本にするわけだから、落とし前をつけないなんて…と勝手なことを思ってしまう。

それは、心の病にかかったことがないからだよ、といわれてしまえばそれまでだが、その境界線を越えるか越えないかの違いだ。
たぶん些細なことと、タイミングによるものだろう。
そこが知りたいのにな、一般ピープルとしては。
なんというか、この間の「大きな熊が〜」のDV問題とおんなじで。

そういうわけで?評価しません。。