「オテルモル」栗田 有起

オテルモル

オテルモル


いやー、期待通り!
なんというか、「お縫い子テルミー (集英社文庫)」を読んだときにも思ったけど、シリアスとメルヘンのバランスが絶妙。
うまく説明できないんだけど、この作品の場合は主人公の生き様が結構厳しくて、個人的にはありえないんだけど、なぜか受け入れてしまうのはバランスがいいの一言に尽きるんじゃないかなー。って、個人的な受け止め方ではあるんですけど。
ホテルの設定ひとつとっても、一歩間違えば陳腐でありえない!で片付けられちゃうところを踏みとどまってるのは、主人公を取り巻く人間関係があるからだ。こちらもそれだけだとどうにもいただけない感じになると思うし。
また、ホテルの顧客に焦点を当ててページを使いたくなるものだろうけど、その辺はさらっとしているし、主人公の生き様というか、生活について、一見無関心を装っているようなドライな描き方だけど、そうじゃなくて、それも唐突じゃなくて、しっくりくる。
ちょっと意味わかんない感想になってしまいましたが(苦笑)個人的にはとても好きでした。