『楽園』上下 宮部みゆき
- 作者: 宮部みゆき
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
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宮部みゆき、さすがだわと唸らされる作品になっていると思う。ただ、どうやら「模倣犯」命の人にはそうでもないらしいが。
とにかく、先月読んだ「悪人」よりぜんぜんいい! 犯罪を取り巻くいろんなこと(ネタバレになっちゃうから具体的には書かないけれど)について考えさせられるし、人も良く描けてるし、やりきれなさがなんとも…☆1個の差だけど、私の中ではこの2作品の差は歴然としていて、本当なら星の差はもっとあるべき。
ただひとつ、結局アレ(滋子が行動を起こす動機付けになったもの)はなんだったのかという謎が解明されてないので☆マイナス1。
結構重要な要素だったと思うけど。また、そのネタを引っ張って、続編書くのかな?
他にも細かく突っ込みたいところもあるし、そんなに都合よく人に恵まれないだろうよ、とかいろいろ普段は鼻につくご都合主義も、そんなことどうでもいいや、これがいいたいのなら!と最後まで読んだら不思議と思わされてしまう。作家の力量なのかな。
ラストも一歩間違えば冷めてたなあと思うけど実際は涙ぐんじゃった。最近、涙腺弱すぎ。40越えるとそういうもの?(苦笑)
敏子さんのキャラが大きいんだろうと思う。
個人的に、超常現象とか、超能力とかのオカルトっぽい設定は大嫌いなんだけど、この作品の場合はぜんぜんイヤミじゃなくて、かえってそんな設定でよかったとすら思った。
導入の、主人公滋子が「模倣犯」にかかわってから、現在までの環境や心境の変化?の描き方がまた絶妙だし。
とはいっても、滋子のような人はたぶん好きじゃない(笑)