『決壊』平野啓一郎

決壊 上巻

決壊 上巻

決壊 下巻

決壊 下巻

↑装幀、菊地信義らしさが炸裂してないですか? ちょっと懐かしいなあ。

感想がすぐに書けずに悶々としていましたが、まあ、書けなくてもいいか、と開き直りです(笑)
なので取り留めのないつぶやき。


初めての平野作品。これが良かったからといって、ほかを読もうという気にならないのが不思議なんだけど。。
最近の小説は描写がないと誰かが嘆いていたけれど、ここにはしっかりあります。ああ、描写とはこういうことだよね、と改めて感じてしまうような。
私はこの作品の読み手とては、例えば崇の饒舌な語りの部分などは日本語としては読めるけれども本当の意味で理解が出来ていないだろう、かなり未熟であることは確か。
それでも、ガンガン読み続けて時間はさほどかからなかった。平野啓一郎をこんなペースで読めるなんて! さすが読者と併走する気で書いたというはずだ(苦笑)

世の中には何の落ち度もない人々が犠牲になる事件が多いですよね。
「(被害者は)何をしたっていうのか、なんにも悪くないのに」と。
まったくどうしたらいいんでしょう。途方にくれます。加害者に対しても周囲の様々な人間に対しても。直接的暴力と間接的暴力と言い換えられるかな?

そういう「悪」はどこから生まれるのか……この作品の「悪魔」な部分が自分の中にないといったら嘘になる。ただ出来ないだけ。いろんなことを天秤にかけてるだけ…。

そしてその悪を赦さずに生きていくことはあまりに重い。だったら赦して生きていったほうがいいのか? そんな自分はイヤだろうと思う。忘れるしかない。でも忘れられない。
鈍感になれず、見て見ぬ振りができず、忘れることも出来ない。崇はああせざるを得なかったんだろうな。

「遺伝と環境」「格差社会」本当に考えさせられます。
そのうち再読すると思いますが指が汚れるのちょっといや。。