『正直な娘』唯野未歩子

正直な娘

正直な娘

『三年身籠る』がデビュー作ではあるけれど、映画と脚本との連動企画だったから、
本当の意味での小説デビュー作といえよう。

世界は変えられないと知ったから、わたしは自分のほうを変えることにした


これが書き出し。しかも10歳の少女の言葉。
結構大人でもぐっと来るというか、この1文だけでずいぶんと頭がグルグルしちゃいました。
自分をとりまく世界、世の中、人間関係…。どうしたって逃れられないのが現実。
切羽詰ったとき自分を変えてみる。でもそれが世界で通用しなかったら?
伝わりすらしなかったら?
消えてなくなりたくなるでしょう。
しかも、もう、変えたくても変えられない、変えたつもりでも変わってなかったりするんだろうなあ、大人だと。

こんな風に作品とはなんら関係のないことを頭のなかでぐらぐらさせながら読んだんだけど、結局女子高生の成長物語。
悪くはないけれど、個人的な思い入れではしをんちゃんの女『秘密の花園』とか、魚住直子の『非・バランス』*1の方が好きだし、女の子の痛みを描いたものとしては伝わってくる。
時代が違うのかな。最近の女子高生って大変だなあと思う。とっくに女子高生時代が終わってて良かったとすら思う。その時代ごとにそれなりの悩みやつらさはあるだろうけど。

主人公秋子と岸田くんの恋愛もどこがどんな風に双子なんだよー、そこを知りたいのに。
ともだち関係も良くわかんなかったけどそれはやっぱ時代?(苦笑)
秋子が、ついて行っちゃうオヤジの嘘のくだりはよかったけどね。その嘘を受け止める秋子の心情みたいなの。

*1:1つ、クールに生きていく、2つ、友だちはつくらない…学校で生きのびるためには作戦が必要だと主人公の思い。