『ヴァン・ショーをあなたに』近藤史恵

ヴァン・ショーをあなたに (創元クライム・クラブ)

ヴァン・ショーをあなたに (創元クライム・クラブ)

タルトタタンの夢』につづく、ビストロ・パ・マルシリーズ。
7編収められているんだけど、途中から語り手が高築くんじゃなくなってんのよ、それってどうよ?
最後に収録されている表題作は特別編として扱えるからそれでもいいけど、なんだかなー、「氷姫」と「天空の泉」はそれだけでイヤになる。「天空の泉」は三舟シェフのフランス修行時代だからともかく、せめて「氷姫」はどうにかなったんじゃないかと思うわ。

今回はめずらしく収録作品ごとに感想をメモします。ネタバレあり、本筋に関係ない突っ込みありです。


「錆びないスキレット
冒頭の猫の餌付けについての批判と責任について書かれたのは好感が持てます。他の作品でも保護犬について触れられていたので、きっと、そのあたりの意識が高い人なんだと思います。
首に巻きつけた布のなかの煮干をどうやって食べろというのか?と思ったけど、それをつけたまま猫は移動できるのか?(とりあえず取って食べちゃうんじゃない?)

「憂さばらしのピストゥ」
私は個人的にレストランに自分の好みや要求を強くしません。だって、好みのお店にしか行かないでしょ、普通。
ここに出てくるのはにわかベジタリアンです。好き嫌いはともかく、主義主張がある人は同じ思想のお店に行けばいいと思うので、そういうお客を大事にする必要があるのかなーと思います(他のお客さんが迷惑だろ、って思うんだけど)。もちろんアレルギーは別だけど。
だまして食べさせるのは食品偽装と同じだと思うけど、そこまでこの小さなビストロが対応できるとは思えず、なんとなく非・現実的なお話に感じました。

「ブーランジュリーのメロンパン」
同じパン屋でも価格帯も違えは種類も違うのに…。コンプレックスはわかるけど、あそこまでかたくなになる必要はあるのかな?不思議。

マドモワゼル・ブイヤベースにご用心」
ありえなさすぎー。そりゃ気になるよね、ブイヤベースだけを食べに来る客って(笑)
味を盗めなくてタッパに持ち帰ろうとするシェフって、おかしすぎ! 余計味は盗めないだろ!
そして、自分がオーナーのお店でクリスマスディナーを食べ(この時点でこのオーナーのセンスのなさを感じるが)、ローストチキン(ベタ過ぎるメニューだよ!)に指輪つめてプロポーズって、キモ過ぎー。それを第三者にしゃべる女もダメすぎー。

「氷姫」
いらない、この話。ヒロイン?の無意味なエキセントリックさがいや。

「天空の泉」
「ヴァン・ショーをあなたに」