エッチな気持ち 菜摘ひかる

えっちな気持ち (角川文庫)

「満たされない何かを抱え持つ25人の風俗嬢たちのメモリアル」
表4の紹介文の一部である。
目次はすべて風俗嬢の名だ。
具体的な名前が書かれているにもかかわらず、記号でも何でもなく、余計に彼女たちの存在が不確かな印象を与えていると感じた。
風俗の仕事にもいろいろあって、それぞれに「掟」があるらしいが
私にはよくわからない。いろいろな仕事があって、どんなことをしているのかは概ねわかっているつもりだがそれでもよくわからないのが実際だ。
この娘たちの職業が仮に別の職業であっても十分あてはまる。
誰でもこの娘たちの誰かに自分を重ね合わせることができるのではないだろうか？
私は風俗の仕事の経験はないし、友だちにそういう人もいない。
月並みではあるけれど、風俗でなくても、都会で生きる女の子たちの哀しみ、淋しさ、悔しさ……そんなものがたくさんつまっている1冊だと思った。