対話篇 金城一紀

対話篇

対話篇

恋愛小説、永遠の円環、花、の3篇からなる作品集。
それぞれ、問題(孤独)を抱える主人公が他者との「対話」によって心をひらき、自己解放していく物語。
はっきり言って「GO」のイメージが良くも悪くもつきまとい、こんな作品も書けるのかと驚き。
ちょっと美談めいて鼻につきそうなストーリーも(某作家ならお涙頂戴的な展開になるところを)作家の年代のせいなのか、徹底して低い温度で描くことにより、ほんとうに言いたいことに焦点が当たり、心打つ作品に仕上がっていると思う。
言いたいことは、好きな人、愛する人の手は放しちゃいけないってこと。
わたしは好きな人に妙な遠慮をせず、会えるうちにたくさん会っておこうと、後悔しないように振る舞おうとあらためて強く想わせてくれた作品でした。