薔薇の木 枇杷の木 檸檬の木 江國香織

薔薇の木 枇杷の木 檸檬の木 (集英社文庫)

薔薇の木 枇杷の木 檸檬の木 (集英社文庫)

女性誌に連載されていたときからこの作品の存在は知っていたけれど、単行本が出たときは全く読む気が起こらなかった。なぜだろう??
その当時は江國さんが大好きだったのに。表紙もキレイなのに、厚いからかな?
連載がこんな長さでまとまったらつまんないのかも?と思っていたのかもしれない。
それはそうと、登場人物が多すぎて、読みはじめにはミステリーに良くついてくる「登場人物リスト」が欲しかった〜。
9人の女性をめぐる“恋愛エネルギー小説”と称されていて、エネルギー?
江國さんとは縁遠いキーワードで違うんじゃないかなあと思ったものの、何となくこういうエネルギーもあるよなあとしっくり来ています。
その9人の女性たちに生活感のある人が一人もいないのはどうよ?とか、どうしてこういう職業(雑誌編集者やモデル、花屋のオーナーなど)や境遇(お金に困ってない主婦やOLなど)を持つ人たちばかりを登場させるよなあって不満もある。
でも、この作品では思ったほど自分がその設定に怒ってないんだよね。これもなぜだろう?
もうちょっとそれぞれの生活や想いについて読みたい気もしたけどそこは“らしさ”なのかな。
終わり方もはっきりしてなくて良かったな。
みんなそれぞれどういう道を歩んでいくんだろうね?と素直に余韻を楽しめたし。
9人の女性の誰と自分がいちばん近いのだろうと普通は考えるところだけど、私は9人の誰にもちょっとずつ共感するところがあって誰とも決められないというか9人みんなであるという感じがしたのも不思議な気持ち。
それにしても男性たち側のお話ももっと読みたかったかも。
土屋は結構描かれていたけれど、この男はほんとにバカだもんね!
何といっても山岸さんに注目。きっと私も好きになりそうなんだもの。