うつくしい子ども 石田衣良

うつくしい子ども (文春文庫)

うつくしい子ども (文春文庫)

***ネタバレ満載です***
自分の弟(13歳)が猟奇殺人犯。
14歳の兄が、それでも弟であることは変わらないのだから、と事件の背景を探り、ついには真相を掴む。っていっても弟が犯人なのには変わらないし、どうしてそういう衝動が生まれて、それが押さえきれなかったのかは、私には良くわからなかったけど。。。
そのたくましく世間(といっても身近な社会)を生き抜いていく姿は、たまらなく愛おしい。
現実はもっともっと世間の風当たりは強く、悲惨だと思うし、友だちどころか肉親とも関わり続けることは難しいに違いない。
だいたいそれほど強い14歳はいないだろう。
主人公の男の子や、彼を支える(とは違うかもしれないけれど)クラスメートや新聞記者の山崎、そして息子を自殺という形で失った母親や、被害者の親……この作品には、まっとうな大人たちの存在のおかげで、読んでいて救われる。
こんな良心のある大人がいるから、強くなれるのかな。
自分はそんな大人になれるのかな?と疑問はあるけれど、そんな大人でありたいと思った。
触法少年や、未成年の犯罪を描く作品はたくさん存在してる。
この作品はそんな内容だと思わず図書館で手にとった1冊だ。
タイトルにみられるように、妹や弟と違う自分の容姿……外見や美しさ、醜さにまつわるストーリーなのかと思ってた。
結末はちょっとキレイゴト過ぎやしないか?と正直思ったけれど、なぜか妙に読後感は後味がいいような、不思議な感じ。