キッドナップツアー 角田光代

キッドナップ・ツアー (新潮文庫)

キッドナップ・ツアー (新潮文庫)

角ちゃんこと角田光代作品でマイベストはこの作品。
点数甘めで★5個。でもほんとは4個半かな。
今年は新刊ラッシュの角ちゃんだけれども、ハードカバー(理論社刊)で最初に出会ったこの作品が断トツ。
初読の時からずいぶん月日は経っての再読なのだけど、主人公ハルの想いとか、言葉とか、行動……何もかもが、いちいちイイのだ。
そう、私にとっては“いちいち”、イイねえイイねえと読み進む。
ここに“いちいち”書き出したいくらいだ。
おかしくて、笑いが止まらないところも前の時とおんなじで、それも思い出したりして余計おかしくなった。
読了後、誰もが疑問に持つであろう、誘拐の取り引き条件だ。
はっきり書かれていないし、それは重要なことでもないのかもしれないし、何だっていいことなのかもしれない。
でも何だっていいのなら書いて欲しかったなーと思うのはヤボなのだろうか。
読者をうならせられるような事が思いつかなかった(=ある種の逃げ)のか?
やっぱり本格的なユウカイであってこそ、ハルに誠実であるのではなかろうか?
単に離れ離れになってる娘と数日過ごしたかったとしても、だ。
でも、一方で取り引きが完了したからハイ、さようならというのも悲しすぎる。
何かうまく書けないなー。すみません。

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ケイ > この本、私も角田さんの中でいちばん好きです。こんな前のことにレスしてすみません、、この取り引きは、、やっぱり?何かなあ。復縁?借金?これだけ書けるのってすごいけど、この辺まで書かないのが、、不満かな。確かに、、でも一緒にいたかっただけなのかもしれない、、娘と。いいかげんな父親だけど、一緒にいたかっただけなんだと思う。そこが好きなところかもしれません、、 (2004/11/17 11:22)
ふりすか > そうですね、なんとなく、におわすようなことくらい書いてくれても……って思っちゃいました。それが、またいろんな可能性が考えられるものだとしても。父と娘という関係をべたべたしすぎず、突き放しすぎずに描かれているのが好きなのかも。そういう時期の女の子も普通に描かれてるし。だからもっとこれくらいの女の子の出てくる作品を書いて欲しいな。 (2004/11/17 11:42)