ミカ! 伊藤たかみ

ミカ!

ミカ!

双子の小学生、ミカとユウスケの日常。
会話は関西弁で書かれている。舞台が大阪だから。
この関西弁で書かれているところが、この作品の味であり、逆に、読者を狭めているというか、関西以外の読者には伝わりにくい残念な面なのかもしれない。
私は関西に住んだことがあるので関西弁になじみもあるからとてもその肌触りというか、言葉の感触が心地よかった。
ときどきドキッとする文章があるのもぴりりとスパイスがきいてる感じだし。
“もしかするとお父さんは、パソコンやワープロみたいに母さんのことも飽きてしまったのかも……”とか。
双子だからといって、以心伝心しているとか、そういう部分はなくて、単純に同じ年の兄妹として描かれているのが好感が持てた。
ミカはオトコオンナ呼ばわりされるほど男勝りで、自分の女の部分を嫌悪する姿、ミカとユウスケのお姉ちゃん、離婚して別に暮らすほんのちょっとしか登場しないお母さん、いっしょに暮らす、鳩山さんという彼女がいるらしいお父さん……キレイゴトで描かれるわけでもなく、悲惨さを強調するわけでもなく、まもなく中学生になる子どもたちの目線で描かれた、学校、家族、身近な世界。
何といってもこの本のまとめ?の最終章がいい。
あっさりうまくまとめちゃってるんだけど、そんなもんだよね、って雰囲気で
軽い。
私はもう、小学生のころに何を考え、何を悩んでいたかなんて覚えていない。
そのことがとても残念に思える1冊だった。
「幸せになる権利」、子どもだけじゃなくて、大人にもあるんだよね。。
私にだってあるよね、なんて噛みしめてしまった。