ミカ×ミカ! 伊藤たかみ

ミカ×ミカ!

ミカ×ミカ!

「ミカ!」から約二年後の、中学生になったミカとユウスケ。
中学生のころって何が自分に大事件だったんだろう?なんてまたしても物思いにふけってしまった。
この本で1番好きな場面は、お父さんとミカとユウスケが健康ランドの焼き肉屋さんで話をするところ。
お父さんが再婚を考えてることについて、ミカが話つくして、ユウスケがあんまりだと思うほどさらけ出した後に、
「……こわいから、こんなんゆうてるんやと思う。だからアタシがそういう気持ちでいるってことわかってもらえるんやったら、あとはなんとかなるねん」と結局応援するよというの。胸がキュンとしてしまった。
オトコオンナと呼ばれていたミカも、好きな男の子が出来たり、ユウスケも恋心を抱いたり、ごく普通の中学生の姿。
ビックリするような成長でもなく、劇的な環境や人間関係の変化でもなく、自然に時間が流れているけれど、少しずつ変わっていくさまが男の子のユウスケの目を通して描かれているんだけど、女の子(ミカ)側の気持ちも伝わってくる。
「ミカ!」に続けて「ミカ×ミカ!」を読んで今どきの小中学生からみると、もしかして私が感じているような「日常」ではなく、どこか作り話的な平凡な日常と受け取られているのかもしれないね。
高校生が4歳の男の子を虐待死させたり、小学校の先生が生徒を襲ったり……。
もっともっと悲惨なことが世の中では起こっているんだもん。