薔薇と野獣 フランチェスカ・リア・ブロック

薔薇と野獣

薔薇と野獣

ウィーツィ・バットシリーズのブロックが、9つのおとぎ話をリアルでモダンな物語に語り直した。
自分さがし、居場所さがしをつづける現代の少女たちがテーマであり、倉橋由美子にも、アンジェら・カーターにも書けなかった世界がそこにあると、訳者はあとがきで絶賛する。
そう、かわいらしい装幀とは裏腹のとてもシビアな世界がそこにはあったのだ。
手法としては目新しくはないものの、仕上がりはとても新しい。
新しすぎて、乗りきれない自分もいて、複雑な読後感だ。
ウィーツィ・バットしかり、リア・ブロックの書く物語にわたしはついていけない……。
「ぶっ飛んでる」……リア・ブロックの作品を読むと、自分の中にあると思い込んでいた若さや勢いの衰えを感じずにはいられなくなる。