図書館の神様 瀬尾まいこ

図書館の神様

図書館の神様

帯には「不思議な出会いから、傷ついた心を回復していく再生の物語」とある。
読む前は、なに? また癒しとかそんなやつだったらイヤかも、と考えていたけどしみじみ。本当に、とにかくしみじみしてしまった。
読んでいる途中、街を歩いていても、この本のことを考えていたりするくらい。
読み終わっていないから、考えていることはくだらないことではあるんだけど。
例えば、私が清だったら、垣内くんに惚れるなーとか、垣内くんの家族ってどんなふうなのかなあとか、自分の弟が拓実みたいだったらどうだろう?
拓実は友だちだったらいいけど、彼氏とかはやだな、とか、どうも浅見さんは、中年太りのどんくさい男にしか想像できないなー、などなど。
浅見さんはともかく、どうしてこんなにイカス男の子達を描いてくれるのだろう。
そして、特別ではない人たちをこんなにも優しい目線で描いてくれるんだろうと、私にはありがたい存在だ。この作者も作品も。
「卵の緒」よりも良くなっていると思う。

たぶん、高校生の時のある事件のせいで、たぶん清は、先(将来や未来)を考えて生きていくという考えは持ちあわせていなかったのだと思う。
高校の講師となって、しぶしぶ文芸部の顧問になって、垣内くんと出会って、教員試験にもなぜか受かってしまって、浅見さんとの関係からも、過去からも、解放されつつある清は、確かにこれから「再生」していくのだと思う。
先(将来や未来)を考えて生きていっていいんだ、そうしてみてもいいよね、みたいな。
必死になってなにかに打ち込むのではなく、自然に素直に流されている清の姿にとてもホッとした。
読んでる間でもなく、読み終わってすぐでもなく、こうして感想を書き留めながら、ウルウルしている自分がいました。

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ココ > 自然に素直に流されて・・・という言葉に肯きまくりです。私は垣内君の最後の発表からラストまで泣き通しでした・・・。登場人物みんないい人だし、新しいテーマでもないのに、こんなに心に沁み込むのは何故か。特別奇をてらった話でなくても、こんないい物語があるじゃないか、なんてそんなこと考えました。 (2004/01/16 13:03)
ふりすか > ほんと、ほんと、しみこみますね。。なんだか、がむしゃらにがんばらなくっちゃイケナイみたいな風潮ってありますよね。女だったらキャリアウーマンか、子育てか、みたいな。比較しちゃいけないんだろうけれど、「デッドエンドの思い出」よりはるかに“癒される”(この言葉もどうかと思うけど)作品だと思います。 (2004/01/16 15:42)
まゆ > 読み終えて時間がたつにつれて、じんわりと効いてきています。清があまりにも自分と似ていて、冷静に読めなかったのです。教師もの、学校ものは読まない私ですが、これは読んでよかったです。 (2004/01/16 17:51)
ふりすか > そうですね、時間が経つほど、じんわりきますよね。ふと思い出したりなんかして。こういうお話って、なんか生きてていいよね、と単純に感じさせてくれますよね。 (2004/01/16 20:20)