恋する短歌 佐藤真由美

恋する短歌 (集英社文庫)

恋する短歌 (集英社文庫)

22 short love stories とサブタイトルがついている。
タイトルがあって、短歌があって、ショートストーリーがついている。
タイトル、いらないんじゃないのかなあ。
実は気づかなかったもの。読んでいるときは。短歌自体がショートストーリーのタイトルだと思ってたから。
カラーのイラストもついているんだけど、抽象的すぎてつまらない。
せめて小道具ぐらい描いてくれてもいいのにな、って。

“恋する”っていうと甘い感じがするけれど、そうでもない。
だからといってドロドロとした感じでもない。
ごくごく普通の恋愛をした普通の決して若くはないけれど、年寄りでもない、そんな女性の思いを的確に短歌にしているという感じ。

あとがきに

整理されずに残ったバラバラの写真のような記憶や(略)
風景の断片を添えて、短い物語を作りました。

本を3冊作ったら、私はもう何も思い出さなくなりました

って書いてあって、創作というのは、経験と時間とパワーをたくさん使うんだなあと、当たり前のことながらあらためて感じてしまった。

最後に私に一番ピタッときた短歌を

いつのまにか見つけてくれてありがとう
わたしがあなたにぴったりなこと

でもこれに添えられたタイトルもストーリーも全然違うんだけどね。(私にとって)
それも短歌の面白さなんだろうね。