天国はまだ遠く 瀬尾まいこ

天国はまだ遠く

天国はまだ遠く


やっぱり私は大好きだ。瀬尾まいこ作品が。
今読み終わったばっかりで、帯に書いてあるように「じんわり」きている。
涙も我慢しないとぼろぼろ流れてしまいそうだし。
読み始めの頃は、主人公の「私」の行動や考えにイライラしてた。
──かんたんに死のうとすんな!
──死ぬ気だったら今の生活ちゃらにできるでしょ!!
──とりあえず会社辞めようよ。
──睡眠薬14錠ぽっちで死ねるわけないじゃん。死ぬ気あんのかよ。
  「完全自殺マニュアル」ぐらい読めよ〜。
とか。いろいろ。
でも、読み進むうちに、なんだか精神的に追いつめられちゃうとそれ(自殺)以外考えが及ばなくなるのかもしれない。
冷静になれないからこそ、そう思ってしまうのかもしれない。
そんな気になった。
田村さんにも指摘されて「とてもじゃないけど会社辞めるって言い出せなくて」って、話す「私」の言葉に、そうかもな、って思ったし。
大部分が民宿たむらの「たむらさん」との会話や交流で、時折はさまれる人々との関わりもさりげなくていい。
散歩の途中で会うおばあちゃんとか、パン屋のおばさんとか。
ポイントを押さえてるというか、それなりに印象的。
1か月足らずの滞在ではこんなもんだろうし。
それでいて、その一つ一つの出会いが主人公の心に刻んだり、なごませてくれたりして。
そして、居心地はいいのに、ここに自分の居場所はないって、自覚する瞬間……。
「私、もっともっと生きていけそうな気がする」
そう思えてよかったね。自分が一番大事だっていうこと見失ってたんだ、「私」は。
とにかく、主人公のお馬鹿加減が逆に最後は気持ち良くなったし。
あと読み終わってみると装幀(装画)もすごく良かったです。
もー、マガジンハウスまんまじゃーん(苦笑)だったけど、読み終わってカバーめくって表紙見たらさらにジーンときちゃったもの。
ほんとに、見事に登場人物が「普通の人」ばっかりでよかった。
田村さんはちょっと違うかもしれないけど、やっぱり普通だと思う。
(*私のいう普通は、カタカナ職業だったり、お金持ちだったり、特殊な力をもっていない人という意味)

                                                                                                                                                              • -

エリコ > システムエンジニアはカタカタ職業かなあ…???
いま積まれてるストックがなくなってしまったので、次はこれと「月魚」の予定です♪ (2004/07/13 23:16)
ふりすか > おお、シスアド! カタカナ職業というわけでもないんだな、考えてみれば。なんかやけに業界人ぽい人とか、そういう意味なのでした。そう、それで、もし自分がなんにもない山奥に行ったら、毎日昼酒して、アル中になっちゃいそうと思いましたよ。。。 (2004/07/14 10:41)
ふりすか > あ、シスアドじゃなかった。。。 (2004/07/16 10:15)