だりや荘 井上荒野
- 作者: 井上荒野
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2004/07/22
- メディア: 単行本
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右肩下がりだった井上荒野の評価が(自分的に)復活した感じ。
杏と椿姉妹が両親の残したペンションを運営していく話。
妹である杏が、夫の指圧師である迅人と東京からもともと両親と住んでいた姉の椿とペンションを存続していく。
そのほかにも微妙な人間関係が絡んでくる話ではあるんだけど、とにかくコワイの。
自分に姉か妹がいて、自分の夫が彼女と関係を持ってたとしたら?
それを知りながら認められずにいたら?
とにかくセックスという行為が何なのか、わからなくなる。
それが男にとっても女にとっても。
杏の夫、迅人は、姉妹と関係を持つんだけど、一般的には、姉と妹はずいぶん違うと認識されているけれど、彼にとっては、同じと思われていて、両方ともおんなじように必要だったりする。
私は、椿が許せない。世間知らずが嫌いだから。
想像力にも欠けると思う。
迅人も、自信過剰なところが愚かだとは思うものの、一般的に、妻(や恋人)以外の女に手を出すときは、違うものを求めているという点で違っているところが哀れだなとも感じる。
私が杏だったら翼くんについていく。
たとえ夫の迅人の方が好きだったったとしても。
私が椿だったら、迅人とは寝ない。寝たとしても溺れない。
新渡戸さんを大事にしたい。
恋愛感情だとか、肉欲だとか、そういうものを超えて結びついていたと思うから。
セックスって何だろう?とは思わされた。
とくに、迅人にとっては。