パラレル 長嶋有

パラレル

パラレル

帯には「なべてこの世はラブとジョブ」と。
このような、「なるほどねえ〜」としみじみしてしまうフレーズがいくつかあって、前半の結婚式のスピーチは素直に良かった。

「結婚とは文化であり、
……一番小さな文化の単位は夫婦といえるのでは
……文化のない場所に人間は長くいられません(同棲カップルに対して)
……夫婦という文化に守られるのではなく、
結婚によって自分たちを守る文化を築いていってください」

他にもいくつかあったけど思い出せないや。

主人公は仕事を辞め、妻に浮気され離婚した元ゲームデザイナー。
今も前奥(元妻)は頻繁にメールを送ってくる。
ほんとに、読み終わるころには、この男も少し、立ち直って来た雰囲気なのでやれやれだったけど、そんなの愛想尽かされて当たり前でしょ?
と思いながらむかついていた(笑)
だいたい長嶋有の作品に出てくる主人公の大人の男は嫌いだ(爆)
ちょうど某歌人が某漫画家との対談の中で、離婚の原因とかを話してたのを読んで(まだ語るかね)、通じるもの、あるよね。。。と思ったり。
あのね、いくら生活費はもともと折半だからといって(なのにどうして健康保険は一緒だったのよ? 扶養以内だったらそりゃないぜ、と思ったけど・苦笑)
それなりの蓄えがあったとしても、勝手に仕事辞めていいって話にはならないんだよ。そんなことぐらいわかんないのかね?
何で夫婦でいるのかを考えて欲しいよ、って。
まさに文化を築いてなかったんだよね。
それにしても、離婚後の妻はちょっとかわいそうかなと思った。
痛々しい。いろいろと、自分と重なる部分がかって、胸がシクシク来た。

私にとっては「猛スピードで母は」の次に好きな長嶋有作品でした。