ぼくは悪党になりたい 笹生陽子

ぼくは悪党になりたい

ぼくは悪党になりたい

さくさくっと読んじゃいました。
しかし、父親違いの兄弟と、シングルマザーである奔放な母親っていう設定はどうなの?
しかも、仕事で成功していて、海外飛び回って、高校生の息子に、主婦がわりをさせる女って。……ひがみ8割だけどそれでも、安直って感じ?
もっと普通の設定では成立しないんだろうか。
これじゃあ、社会的に成功しているシングルマザー(あるいはファーザー)じゃないと、子どもは頑張れないのか?と。

主人公のエイジくんの物わかりのいい姿と、自分の父親が明らかになったことをきっかけに、張りつめていた糸(主婦の役割を果たさなくちゃという義務感)が切れて(切りたくて)ささやかな高校生らしいおばかな行動はほほえましい。
そういえば「悪党」になるとか宣言してたけど、ありゃ「悪党」か?
悪党らしいこと何もしないうちに撃沈なんだもの(苦笑)
それに、痛い思いをしたのに、それをきちんと尻拭いしてもらえるのも甘いなあ。学習できないじゃん。
それにしても、超イケメンの羊谷くんがバーチャルゲームにはまって、
真剣に恋するのは納得いきませんね。
容姿がいいせいで、正当な評価が得られない、自分を見てもらえない。
でも、バーチャル恋人との関わり(まあ、プレイ)で容姿関係なく、普通の会話や対応ができることに喜びを感じるというのも、えー。
その子は誰にでもそうするんだよぅ、って教えてあげたいし、それこそ、もっと身近な人間に役割が振れないのかなあと残念。
でも、これが「ヤングアダルト」向けとしてなら、すごくいいんじゃないでしょうか。
ちゃんと、じだらくな(でも、コンドームを必ずつける)セックスもしているし、向きあえない現実から逃れようとしたけど、それもうまくいかなかったりと、そういう部分も描いているところがいいのじゃないでしょうか。
読みやすいっていうのもあるし。よく書けてますわ。(なにをえらそーな!・笑)