ためらいもイエス 山崎マキコ

ためらいもイエス

ためらいもイエス

清水ちなみの「大独身」の帯には

30歳以上の独身女性の4人に一人は処女である

……どういう調査範囲かはわからないが現実味があるなあ。
だから、この作品の主人公、三田村奈津美は28歳という設定だけど、読んでるとどうも30代のにおいがするんだよね。
仕事の成功具合というか、そういうのも、20代じゃちょっと無理があるなあと。
外資系だから?
まあ、とにかく簡単に言ってしまうと、仕事一筋、男っ気なしの主人公が、史上最大のモテ期に突入し、慣れないもんだから、あたふたしちゃう。
だいたい男なんてと思う背景に母親ありで、ちょっと極端に描かれ過ぎかなあと感じないわけではなかったけれど、ああ、あの人に娘がいたらこんなかも、ってたやすく想像できちゃったり。(私信:おかーさん、私は、おかーさんの子どもで良かったとつくづく思う。っていうか、私のおかーさんでありがとうだ。)
その辺の描き方がちょっとどうなのかなと疑問には残るものの、メインは恋愛おくての奈津美姐さんのあたふたぶり。
個人的に、この手の女性が仲の良い友だちに一人いて、思わず重ね合わせて読む。
こういう人いたら、いない人よりもこの作品かなり楽しめます。
普通ならありえねぇ!と突っ込むところも、そうそう、こういう女はこういう思考回路だから、そもそも今まで男がいないのよ、こうなっちゃうんだよね〜わかる、わかる、って納得しちゃう。
例えば冒頭の鰻一筋の日々がたたって栄養失調で倒れちゃうとか、お見合い相手の写真を見て、顔も名前も似てるからって「ギンポ君」などと名付け、口走ったり。
しかし、読んでる途中は、あまりにギンポ君の都合のいい男ぶりにイライラしたが、毒舌だったりするので流すこともできたし、最後にその理由が判明するのもかなりな
ご都合主義なのだが不快ではなかったし、そうでなくっちゃギンポ君の行動は肯定できないもの。
それくらいの運命の糸がないと、こういう女性は、一生縁遠いまま終わっちゃうのかも、と思うとちょっと切ない。
ああ、また彼女(私の友だち)を思い浮かべてため息をつく。
私はあなたにとっての青ちゃんでありたいよ、と。