セックスボランティア 河合香織

セックスボランティア

セックスボランティア

私も障害者に関して、キレイゴトでしか語られていないところに疑問は持っていた。
でも、正直読み終えて物足りなさを感じたし、どうしてここまで売れているのかわからなかった。
これくらいだったらとっくに今は亡き「Tonight-2」でやってたよな、って。
もちろん、取材対象は幅広い、はっきり言って死にかけのおじいさんや、若者、出張ホストを呼ぶ女性、障害者同士の夫婦、またはオランダの現状まで。
もちろん介助する側についても触れられている。
なんだか、どれもこれも中途半端に感じるのは私だけかな。
セックスボランティア」といってもボランティアだけじゃないような気もするし。

「なぜこの著者が障害者の性について取材をするのか?」という問いに――偏見や美談で語られる現状に疑問をもちありのままの姿を伝えたい。
と答えてきたけれど、もちろんそれがなぜ「河合香織」がという答えになってないことを本人が認めたうえで幼少時の体験をほんの数行つけたした。
でも、それはまだ答えになっていないと思う。
著者自身が

障害者の性を語るためには、まずそれぞれが自分の性を見つめなければならない

という取材でいわれた言葉を気にしているとあるけど、たったそれっぽっちの記述で彼女は自分の性に向き合っているとはとても思えない。
彼女の体験は障害とは関係ないではないか。嗜好の問題でしょう?
障害にもいろいろな程度があって、それによってあり方が変わるんだから、こういうまとめ方はいかがなものかと思う。
障害者(身体的精神的全て含む)に対する性教育だって、まずは性犯罪の被害にあわないため、加害者にならないためのものが必要なんじゃないかなあ。

「障害者だって恋愛したい、性欲もある」という帯の文句がすでにキレイゴトなのでは?
著者自身が性にきちんとした考えお持ち、男女の性差についてふまえたうえで語って欲しかった。
それに自分の意見はどうなんだ? 教えてくれ。
1章の後半では竹田さん(脳性麻痺で手足が不自由)が付き合ってたという自殺した相手のお墓探しは美談に思えたし、葵(脳性麻痺で全介護、言語障害も重い)、健常者ゆかりカップルのその後まで取材されていたのは多少評価できるけど、

(彼を)介助するのはたいしたことでも特別でもない、(自分が)機械に弱くて
操作してもらうことと同じ

というゆかりの言葉はどうなんだ。
私だってずーっとそういう考えだった。
目の見えない人を誘導したりとか、耳の聞こえない人と手話で会話をする、そういう経験からは自分に腕力がなく、重たいものをもってもらうことと同じといえるだろう。
でも、ゆかりは果たしてそうだろうか。トイレもお風呂も介助しなくてはいけないのだ。
それとビデオの操作と同等に挙げること自体がキレイゴトではないのか。
それ以前に気持ちがあるからというのはわかっている。
でも、そういう例えがもう危ういんじゃないのだろうか。
たいへんなことはたいへんだと認めることの方が自然だと思う。
知らないこともたくさんあったけど、こんなにこの本が評価されているのは、著者が30前後の女性だからがんばったね、というおまけがあるようでならない。

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nanako > 結構厳しめの感想ですね。ノンフィクションも好きなので、かなり気になっている本です。でも読んでいないのは多分「セックスボランティア」というタイトルが理由かな〜と自分では思っているのですが。
障害者のサポートがボランティアというのは理解できるのですが、それをセックスとリンクして考えることは私にはどうも理解できないので・・・。時間がかかるかもしれませんが、図書館で借りることができるようになったら読んでみたいとは思っています。 (2004/10/05 22:42)
あしか > 「障害者だって恋愛したい、性欲もある。」という帯の文句がすでにキレイゴトなのでは?と言われている言葉に「う〜ん。」と唸ってしまいました。編集者及び作者はこれを聞いたらさぞがっかりされる事でしょうけれど、私も賛成です。一般的にインパクトあると思ったんでしょうね。今、世の中はそれを上回る状況にあると思います。夫の会社は、年間に何人と決められて障害者を採用しているようです。彼らの私生活はやはり極めて当たり前に、男は女を求め女は男を求める。しかもそれをおかしな事と思う周りはいない。この場合、知的障害と身体的障害では少し話は違いますし、しかも成人してからの事故によるものと、生まれつきの障害によっても違いますよね。やっぱり見栄えが極端に違うと恋愛は難しくなる、というのは、健常者でも同じ事ですよね。とことん突き詰めれば、やはり優秀な遺伝子を残したいという動物的本能によって人間も配偶者を選ぶのが本質なのでしょうから。で、人間だから、そういう一目見ただけじゃ解らないところに魅力を見出す、と。
しかし、障害のある女子児童に対する猥褻を繰り返してた教師、同じような小企業の社長、それらは腹に据えかねる思いです。彼らを一人残らず抹殺する事はできないとしても、世の中が見張る目を準備しておく事は非常に大切でしょうね。興味惹かれる内容ではありますが、中身に関しては、ふりすかさんの評価は、まあ曖昧で中途半端ということなのですね。私も、ふりすかさんの日記で充分堪能したのでこれでよしにしてしまおうと思います。 (2004/10/05 23:36)
ふりすか > nanakoさん、なんだか書いてるうちに興奮してきた文面になっちゃってますね、私。最初私は、セックスボランティアって、風俗に行く手伝いだと思っていたんですね。直接的なボランティアのことも書いてあったんですけど、結局何がいいたいのか、私にはわからなかったんです。でも、ぜひ読んでみて下さいね。私も図書館で借りましたが、表紙を下にして渡されました。。
あしかさん、そう言わずに読んで下さい(笑)私の感想って偏ってると自分でも思うので……。セックスって基本的に気持ちが伴うものだと思うので風俗すら微妙に理解できないものでそこからわかりたかったっていうのもあるんですよね。帯の文句については、そりゃそうでしょ。って思ったもので。なんだか難しいですね。。 (2004/10/06 10:56)
nanao > はじめまして。
新聞に出ていた、作者のインタビューとはかなりニュアンスが異なるようですね。
手にとって見てみます。 (2004/10/06 23:57)
ふりすか > nanakoさん、私の感想はホントに偏っているのとたぶんきちんと読み込めてないところもあるんだろうとも思うのですが、私が読んだかぎりでは、こんなふうに思っちゃったという程度です。 (2004/10/07 18:16)
nanako > すいません。↑のレス、nanaoさんからです。nanakoとnanao、時々こんがらかってしまっているようで…ゴメンナサイ。 (2004/10/07 23:46)
ふりすか > すみませーん!!nanaoさん&nanakoさん。ほんとにごめんなさい。 (2004/10/08 11:13)
れん > 私も読んだよ。仕事で、なので、サイトには上げていないんだけど。私もこれはかなり物足りなかったねー。著者自身がこのテーマを戸惑いながら扱っているからどこから見ても中途半端な印象。テーマは面白いのにもったいないね。 (2004/10/11 15:51)
ふりすか > れんさん、こんにちはー。なんだか感情的な物言いになってしまっているのでコメントいただき恐縮です。そうなんですよねえ、読むほうも戸惑っちゃいました。実際ボランティアする人の考えなんかもあれじゃあすまないだろうと思うし。命の危険にさらされてもそれを介助するっていうのが理解に苦しみました。何かあったら自分はもちろんいろんなところに影響が及ぶのにそこんとこどう考えているのかなあとか、いろいろ思うこと多数です。 (2004/10/11 17:37)