海の仙人 絲山秋子

海の仙人

海の仙人

『イッツ・オンリー・トーク』が良かったのでこれにも手を出しました。
読み始めて、ファンタジーの出現でなんだかゆるい川上弘美っぽいなあ。
と頭をよぎっちゃいました。
主人公の男、彼を慕い続ける女、ファンタジー、そして彼とつきあう女。
ファンタジーの存在がなんともいえない。
良くも悪くも「なんともいえない」んだなーこりゃ。
主人公の心のキズがもたらす女とのつきあい方。それはしかたないんだけど、相手にとってはたまらんなー。なんで彼女は最後の最後までおとなしくしてたのか。
彼女は別として、なんて言うのかな、世間的評価とは縁遠いところで自分なりの価値観の中で生きている人たちの物語は好き。
が、

心やさしい男と女と神様。
背負っていかなきゃならない最低限の荷物
──それは孤独

帯より。

ファンタジーを神様と言い切っていいのかしら。
なんだかわかんないところがいいのじゃないのかなあ。
中身には描いてないと思ったんだけど。
あと終わり方がねー。ちょっと読者に投げ過ぎなのではないでしょうか。
雑誌のインタビューでわざと結末を限定せずに読み手それぞれに考えて欲しいと著者は言ってたけど、それって逃げじゃないかしら、この作品の場合。
決めつけないのがいいこともあるのよ、確かに。
なんだかまったく余韻を感じることができないの。おかしいなあ。