空中ブランコ 奥田英朗

空中ブランコ

空中ブランコ

図書館からの、4か月待ち!の本でした。

これが直木賞受賞作ですか。「イン・ザ・プール」あっての受賞でしょうねえ。
今回は5編とも患者は比較的特異な職業ばかりで身近さは感じないけど、それだけに病気との組み合わせが切実。
しかも、全部自然にハッピーエンド! 病気の元を除くことで、他の何か大事なものを失うということもないので、読後感がいい。
続編だから、前作を読んだときほどのインパクトはないけれど、安心して読める、ある程度のレベルを期待して、それにこたえてくれる作品といったところでしょうか。
伊良部先生はお坊っちゃん度がパワーアップして、さらにキャラが立ってきたというか……意外とキレイゴト言わず、正当な言動が好感もてます。もちろん、正当といっても、病気の元を取り除くという点においてに限ってで、歯に衣着せぬお言葉と、フットワークの軽さに感心。そういう意志は感じないけど(笑)
「〜この診察室は観覧車だ。乗ったら1周する間、そのペースに合わせるしかない」
まさにその通り。診察室とこの作品は一緒ですね。

・義父のヅラ(学部長である義父のヅラをはぎ取りたくなる精神科医)が1番スキかなあ。精神科医vs精神科医で、しかも同窓生。最後の解決法や様子はほのぼのしてるし。
・女流作家(書こうとすると過去の自著との類似が気になる強迫症の作家)は林真理子かいな、と思ってしまいました。このラストのマユミちゃんがマユミちゃんぽくなくて残念。素直すぎて。で、★マイナス1個。