Teen age 角田光代ほか

Teen Age

Teen Age


7人の女性作家(角田光代瀬尾まいこ藤野千夜、揶月美智子、野中ともそ、島本理生川上弘美)が描く様々な10代の姿。
10代の子たちをとりまく不安定さや、悩み、迷い……なんて素敵に書かれてるんだろう。
今日は気持ちが弱っていたせいか、哀しいとこでもないのに「ああ、10代のころってこんな感じよね〜」と何度も私を感傷的にさせた。
どこにでもある日常のワンシーンや主人公のふとした気持ちが、心の琴線に触れたというか。

角田光代の「神様のタクシー」:どんどん登場人物が高齢化(違)していくのでこんな風に女の子をまだ描けるとは驚いた。
瀬尾まいこの「狐フェスティバル」:まっとうな人のまっとうなお話。って書くとつまんなそうなんだけど、優等生っぽいんだけどイヤミじゃなくて。
藤野千夜「春休みの乱」:いろんな要素があって、それらがさらりと触れられているけど無駄じゃないところがいい。
椰月美智子「イモリのしっぽ」:矢守くん素敵です。
中学から高校には入るまでのほんの短い時間の気持ちの揺れってあるよね〜って思い出された。
野中ともその「ハバナとピアノ、光の尾」はキューバの男の子が主人公のせいかちょっと異色というか、馴染めなかったなあ。
島本理生「Inside」:なんとなく途中で結末がわかっちゃったり、ボリス・ヴィアンの「うたかたの日々」を出したりする優等生色がちょっと……って思うもののいいです。
川上弘美「一実ちゃんのこと」:この設定はぶっ飛びますね。
でもおもしろい。きっと他の人には書けないだろうし。
これは10代じゃなくてもきっと成立しそうなお話だけど。
パンチがきいてますよ。

いや〜、いい本だった。ほんとに。