人のセックスを笑うな 山崎ナオコーラ

人のセックスを笑うな

人のセックスを笑うな

人のセックスを笑うな」……笑ってないけど???
タイトルとペンネームから、もっと下世話なお話を想像していたら、わりとさわやかな青春小説っていう印象。衝撃的でもなんでもなかったわ。
ある意味あざとさは感じるけど。計算高いっていうのかしら?
読まず嫌いでいる人の方が好きな作品かもしれない。

19歳の美術学校生、磯貝くんと講師であるけっして美人とはいえない40近い既婚の講師、ユリちゃんの恋愛模様
私は年齢的にもこの女性に近い立場だから、若い男の子と恋愛するのはさぞ楽しかろうということはわかる(笑)が、しかし、自分がユリちゃんのような女性ならどうだろう。
相手の気持ちはおいといて、踏み出せないんじゃないかなあ、などと考える。
なぜ彼女が磯貝くんに惚れたのか? 惚れていたかどうかも定かではないけれど、なぜちょっかい出したのか。
いまひとつ理解できない。
男の子の目線で描かれているのだけど、なんだろー? 
ものすごくまっすぐで素直なんだよね、この子。悪くいえば単純。
恋するには理由なんていらないんだろうけど、それでもどうして彼女に魅かれたの?
こちら側としてもいまひとつ理解できない。
確かに、出てくる何気ないフレーズにドキッとし、素敵だなあと胸キュンする箇所いくつかアリ。
でも、磯貝くんにそんなことわかるかしら? と腑に落ちないところなんかもある。
その、スパイスをピリリと利かすための作りなの?
この、すかすかの行間と改行とあっけないボリューム。
絲山秋子の「袋小路の男」じゃないけれど、ユリちゃん側から描いたお話も読みたいなあ。
猪熊さんとのいきさつとか、なぜ絵を描くのか、そして辞めるのか、なんで磯貝くんに手を出したのか……。