『赤い長靴』江國香織

赤い長靴

赤い長靴

夫婦の物語というので、何冊かぶりに江國さんの小説を買った。

読む前に週刊文春の“著者は語る”で

「今回は意図的に、不倫だとか妊娠だとか子どもだとかを排除して、二人の危うさを書いてみました」

とあったのでますます興味津々。それに、

「逍三をタイプという女の人から、死んでも逍三とは暮らせないという女の人まで。」
いるらしいし、「逍三はいい奴だという男の人も」いたそうです。

さてさて私はどうかしら?なんて気楽に読みはじめたんだけど・・・・・・。

どこから切っても江國さんとしかいいようのない文章。
結婚10年を迎えた夫婦、40代目前の妻・日和子と夫・逍三には子どもはいない。
私は日和子も逍三もわからない。今は。でもいつかはわかる日が来るのかもしれないのがコワイ。
コワイといえば「赤い長靴」の正体だ。ぞーっとした。
コワイのはそれどころじゃないんだけど。
多分、このふたりに子どもでもいたら、きっとどこにでもいる夫婦関係なんだろうなと思う。
ささいなこと、たとえば、「うん」としかこたえない夫のことも、気にしてる暇はないんだろうってこと。
読んでもらうしか、この空気や、日和子の思いや逍三の存在など説明の仕様がないんだな、私には。
でも、私は逍三をタイプとも、いい奴だとも思わない。
人の話を聞かないで「うん」としかこたえない夫なんて、まさに死んでも暮らせない。
いないときのほうが好きだとか、そういうふうにはなりたくない。
繰り返すようだけど、いつかそうなるのかもしれないことも否定できない。
「逍ちゃんは私がいなくても大丈夫ね」
うひょ〜! そんなことないかもしれないけど、そう思わせた時点で負けだと思うんだよね。。

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さくら > 読んでて「ぐぐぐ・・」と力が入ってしまうタイプのストーリーでした。寒〜い印象。最近の江國さんワールドちょっと引いてしまうのがあるように思います。 (2005/02/24 16:42)
ふりすか > 私も寒気がしましたよ。でも、何でもない日常に戦慄が走るって、腕を上げてるってことなんでしょうね。 (2005/02/25 10:55)