『ワーキングガール・ウォーズ』平安寿子

ワーキングガール・ウォーズ

ワーキングガール・ウォーズ

冒頭はちと不安だったけど、読み終えてみれば、あ〜、爽快!
主人公は、墨田翔子37歳。一流企業の企画部係長。結婚歴はない。
都心のマンションだってローンとはいえ持っている。
仕事はできるし、それなりの年収と地位がありながら、中間管理職として、お局さまとして、恵まれているだけとはいえない環境で日々暮らしている。
部下から嫌われていることを自覚しながらも、それがどうした、と開き直ってる部分もある。
誤解をとこうとか、いらぬ気遣いなどをする煩わしさを抱えるくらいならと。
これだけだと、ほんとーに翔子ってやな女なんだけどね。
でも、そういう態度に関して、部下であり、友だち以上恋人未満になった八幡くんに指摘されちゃったり諭されたり。
まったく、翔子は正しいし、頼まれれば、「部下がきちんと仕事してくれないと困る」
と自分に言い聞かせて立ち回ったりもする。
こういう女性は大好きだな。でも、仕事上の翔子しか知らなければそんなことは思えなかっただろうけれど、ひょんなことから知りあい、友だちになった旅行会社勤務でオーストラリア在住の愛美の目線で語られる、職場以外の翔子の姿。
翔子のことを上司として、また一人の女性としての両面を知っている八幡くんの発言や行動。
そして職場で起こるさまざまな事件の真相に迫る翔子。
そういういろいろな立場の目で明らかになっていくキャリアウーマン翔子の本質。
人を一面だけで見ないでよ!ってわかってもらいたい感じです。
おまけと言っては悪いが、愛美の旅行会社の現地ガイドの仕事についても興味深く読むことができた。
そして、いわゆるお話ごとに登場するゲストたちの描き方も、そうそう、そういうやついる!って思わずうなずいちゃったり。
私はこういうキャリアウーマンものの主人公は好きになれないんだけれど、翔子には好感を持ったし、もっとこのシリーズを読みたいと思った。めずらしい。
最後もね、課長をやり込めるところなんて、最高だ!
もともとは部下の派遣社員から相談を受けたところから始まるのだが、結局は自分をだしに使われたことで火がついちゃうんだもの。
わかりやすい。
はったりのきかせ方というか、機転のきかせ方はぜひ弟子になって学びたいくらいだ(爆)