『マリモ 酒漬けOL物語』山崎マキコ

マリモ―酒漬けOL物語 (新潮文庫)

マリモ―酒漬けOL物語 (新潮文庫)

帯には

これが飲まずにいられるか!

サブタイトルといい、てっきり二ノ宮知子の「平成よっぱらい研究所」テイストのかと思ったらじぇんじぇん違いました。
期待していた「お酒の飲み方や飲みっぷり」については書かれず、その後の二日酔い状態しかわからないし。

主人公マリモは中堅食品会社のOL。独身で何かあると酒の力を借りて気を紛らわせてしまう。
初めて任された商品企画がアホ上司のおかげで黒豆納豆(今ではスーパーでよく見かけるけど)からカレー納豆に変更を余儀なくされ、もちろん失敗し、異動→転職。
同期入社の坂上くんとのやりとりを中心とした表現は軽く、オタク度も高い。どちらかといえば品はないし、年代だけでなく、出てくる固有名詞や用語などに合点が行く読み手も限られるだろう。
時折不登校時代の高校教師との思い出が挿入され、マリモがどこに属していても「役に立つ人間になりたい。そのために頑張っているのに認められない」という悲痛な願いが浮かび上がる。
大きくない会社での人間関係についても、自分では認めたくなくて向き合っておらず、坂上くんにいびつな上下関係を指摘される。それがまた秀逸なの。
「筒井(マリモの直属の上司、課長)の野郎は恐怖を薄めて(マリモを)支配してる」
なんか、筒井のような人間っているよなあと思った。
結局、会社を追われる形で転職し、またそこでもつらい現実や、汚い仕組みを見てしまい、もうここには坂上くんはいないので、元彼のフキちゃんに会いにいってしまう。
この、フキちゃんとのエピソードがいまいち面白くなかったんだな、私には。
そして、マリモは思い切って恩師に会いに行く……。

どうなんでしょう? 私的には途中から白けちゃったんだよね。当初のダメOLの生き様をがんがん書いて欲しかったという個人的な希望もあるけど、何だか急にまじめになっちゃってぇ〜わざとらしいな〜なんて。
自分の価値というか、存在意義を探すというテーマは好き。
きっと多かれ少なかれ誰もが考えたりすることだろうから。
なんだろう? バランスが悪いというのかしら。
何となく書き手にも読み手にも前半から後半へのシフトがうまくいかない、そんな感じ。

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yukko > ふりすかさん、こんにちは。ほんとだアップされてたんですね、気付いてませんでした。うー、感想読ませていただいてれば、期待少なく読んだので、あれほどショックではなかったかも・・・残念。バランス悪い、前半から後半へのシフトがうまくいかない、って同感です。 (2005/03/23 11:10)
さんど > たどってきました(笑)。こちらには、はじめてで、ちょっと緊張してます。この作品、バランス悪いんですよね。アンバランスな過剰さが本領なのだけれど、彼女の、あやういバランスが保てているのって『さよならスナフキン』だけではないかなあ、という気がしてます。 (2005/03/24 09:09)
ふりすか > >yukkoさん、いらっしゃいませ。酒好きとしてこのタイトルは反則ですね〜。
>さんどさん、いらっしゃいませ〜。緊張なんて不要です。コメント残してもらえてうれしいですもの。
『ためらいもイエス』しか読んだことないので『さよならすナフキン』試してみようと思います♪ (2005/03/24 09:56)