『夜のピクニック』恩田陸

夜のピクニック

夜のピクニック

私は熱心な恩田陸読者ではないけれど、「ネバーランド」や「六番目の小夜子」は好きで、なんでこんなに高校生をいい感じに描けるんだろうと感心していた。
こういう高校生活、高校生同士の関係に憧れが強いのだと思う。
しかし、私には、歩行祭のような行事の経験もなく、もしあったならば、間違いなくバックれていたでしょう(爆)

年のせいか“若さ”とか“青春”に目がくらむ今日この頃、まさにそういう気分を味合わせてくれた作品。
予想されたハッピーエンドだったり、予想もつかなかった意外な種明かし(?)があったりしたけれど、派手さはなくとも、ああ、若いっていいな、こんなふうに高校時代を過ごせたら良かったかな〜なんて。
なんなのでしょうね、この魅力は。
ただ、高校生姿を借りた大人の説教めいた台詞が、とくに忍くんを通して語られるのが、嫌みに感じられたり、素敵だと感じられたり、複雑です。
基本的に、良い子たちばかりで、現実的なのかしら?などと疑問を持ちつつ。
何となく高校生くらいの若い子たちには、忠告めいた要素(忍くんのいうタイミング問題など)をきちんと受け止めて欲しかったりもするし、私みたいな年頃には、懐かしい雰囲気に浸れるのかな。

特に大きな事件は起きない割に、すごくおもしろく読めたんだけど、心のどこかで、こんなことあるわけないよ……と思う自分もいたり、いつか忘れちゃう様な気がして★3つ。
いい作品だとは思うけど、なぜに本屋大賞?とも思ってしまった。。

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まゆ > 異母きょうだいというのは、恩田さんらしい設定だなあと。でも、それより何より、夜歩くだけのこの行事が持つ熱気とか、独特の高揚感はわかる気がしました。私も歩いたことはないけど(絶対嫌だ!)、行事の前の感覚とか似てるかな、と。自分の高校時代を思い出して懐かしかったです。 (2005/05/05 19:20)
ふりすか > まゆさん、こんにちは。自分の高校時代にないものばかりでうらやましかったです。確かにとてもウマイですよね。 (2005/05/05 21:37)
さんど > 一応、読みましたが。恩田陸松村栄子荻原規子さんの書く学生さんが、ちょっと苦手なのですが、あれは、要するに「優等生」の高踏的な青春だからなのかなあ、と思ったりします。なんか身近な感じがしないのですよね・・・。多少の家庭事情はあっても、本質的なところで屈折していないのが悔しい(笑)。って、私の見方が偏狭なのかなあ。 (2005/05/07 09:50)
ふりすか > そうですね、かなりレベルが高い「優等生」たちだと思います。だから、私もまぶしく憧れてしまうという。ある意味、小説としては、たくさんのニーズに応えているものかなあとも思いました。 (2005/05/07 11:44)