『私の男』桜庭一樹

私の男

私の男


んー、おもしろかった。けど。 とっちらかってる感想メモ。

読み始めはこれからどうなるのか?と思ったけれど、時間をさかのぼっていく章立てで、読み終えた後、もう一度最初に戻りたくなった。けど、試してはいない。
インモラル的な部分は意外と不快にならなかったし、家族とか血のつながりとか、描きたいこともわかったような気がしないわけではない。
主人公花みたいに(出自はともかく)ああいう環境で生きていかなければならなければ、淳悟のような男も受け入れることもあるだろうなどと思う。(すごく大雑把な言い草ですみません) でも、やっぱり恋愛だと思うし。
なので著者の言う「家族の絆」「家族の間で許されないことの境目(だっけ?)」を描きたいっていうのとはちょっと違うような気が…だって、淳悟と花の関係の始まりを見れば、花にとっては全てを失った後の本の一筋の光のようなその程度の血のつながりなわけでしょ? なので、どっちかっていうと、やっぱり恋愛小説って気もするんだけど、それじゃダメなんでしょうか?
だって、あの避難所での再会?対面?は運命の人って感じだし。
確かに「私の男」って、自分にかかわる全ての役割をこなす男、だよね?
近いところでは、父、兄、弟、息子…。そういう意味かあと改めて思う。
血の濃さとかやっぱり同性で描いたほうが説得力もあるような気がするの。
例えば、自分と母親なんていい例だと思う。特に母親のいやだな、って感じるところが自分にもあるんだって気づくときはかなり落ち込むというか、いい年にならないと気づかなかったり、感じないことではあるんだけど。母親が年を取るに連れ、今まで煮てないと思っていた親戚と似てるって気づくし。
また、弟を亡くなった父そっくりだ…と母が言うときは決まって嫌な部分を指しているし。
そういっても、ストーリー的にも、各章の語り手になる人物のキャラ設定も、おもしろかったし、なんといっても読み終わってから考えさせられることも多いというか、余韻が続く…で悩んだけど☆4つ。3.5ぐらいかも。
恋愛小説であってほしいと思ったけれど、そうするとこんなに考えたりもしなかっただろうし。
ただ、花の結婚相手の良郎の章は結婚に至るまでの紆余曲折(ぜったいある!!)をもっと書いてくれても良かったかなと思った。
これからのことも読みたいけど、まずは、その前の話を!

本筋とは関係ないんだけど、登場人物名まえの意図するものってなんだろう。
なんか、邪魔でした。竹中花が腐野花ってなるところも、淳悟*1って名まえも。

*1:『四十日と四十夜のメルヘン』の青木淳悟が浮かんで困った。って、別にこの人は知らないんだけど・笑