『あなたの呼吸が止まるまで』島本理生

あなたの呼吸が止まるまで

あなたの呼吸が止まるまで

どんなにへたくそな文章でも、「あれ?ちょっとそれおかしな描写じゃない?」とひっかかっても、読み終わって「ああ、残念」な気持ちになっても、島本理生って小説家だよな、と強く感じてしまうのです。
不思議。theがつくような、というか。
とうぜん、私のごくごく個人的な印象でしかないことをご了解くださいね。

図書館で予備知識なく借りて読み始め、途中例の場面はナナメ読みしちゃった(汗)
あそこまで書く必要あったのかなーと思う。
充分その人のそういう嗜好と願望はその人自身の描写で伝わるように書けたんじゃなかろうかと。
絶対ふとした言動で、その人のいやらしさとか、出るんじゃないかな。
ただの純真無垢な女の子じゃなくて、きちんと大人の世界も見ている子なんだから。

とにかく、主人公の女の子目線で書かれているのに気付くまで(って数行だけど)、相変わらず、文章下手だな、むしろわかってるうえでのいやがらせか?と感じたり。
でもその文章表現を貫いているかといえばそうでもないのでおしい。

読んだ後いろいろ調べちゃったんだけど、どうなのかなあ。
確信犯的ではあるんだろうけど、なんか反則って気がする。
主人公の女の子を著者本人と思わせるような設定というか?
当然フィクションで、そういう風に読ませることが作戦のひとつかもしれないけど。

主人公以外の子どもたち、特に鹿山さん、田島くんは魅力的だった。
とにかく、私には、登場したときから佐伯さんはキモかった。
大人じゃないもん。そう描いてるんだろうけど。
使う写真を報告しないのがデザイナーとしていかがなものかと思ったの。
すごくちっちゃいところに引っかかってる(苦笑)
なので、佐伯さんとの出会いがそれなので、どうして朔ちゃんが魅かれるのか
わかんなかったのよね。だって、いつも大人に慣れてる女の子でしょ。
普通バカにするよなあ。
と、どうでもいいところをチクチク突っ込みたくなるのも、この人の作品の特徴なんだよね。
浴衣着るときに「おはしょり作って腰紐を結ぶ」って腰紐締めないとおはしょり作れないと思う…とか。
こうやって振り返っちゃうと、編集者仕事しろよなあとか、思っちゃって、(もしかしたら、指摘を全てスルーされたのかもしれないが・笑)どんどん評価が下がっていってしまう。ほんとに残念。